大坂侍 司馬遼太郎

久々に司馬さん読む。

やっぱ面白い。

幕末の大坂を生きた侍達の短編集。

全6編。

江戸でも京でもなく大坂の侍。

上方といえば商人。

商人にスポットライトを当てそうなものだが。

司馬さんが描く上方武士達の生きざま。

6編すべてに落ちがあり。華がある。

和州長者

へのこのくがたちの話。

ある旗本の奥方が死ぬ。奥方と関係があった男たちが、へのこのくがたちをする話。

へのこは男根、くがたちは占い。

面白く哀しい。

難波村の仇討

岡山藩の侍が兄の仇討のため、上方へ出てくる。

上方武士奴留湯佐平治は、仇討免許状を金で買おうとする。

仇討にこだわり続ける岡山侍だが。

押し寄せる時代の波、上方侍の処世術。

法駕籠のごりょんさん

新選組山崎烝、福井藩士三岡八郎(のちの由利公正)

佐幕、勤皇敵対する立場でともに勘定方を務める二人が、

天満のホウカゴ(駕籠屋)では立場を超えて交友する。

二人はごりょんに好意を寄せている模様だが。

ごりょんが選んだのは。

盗賊と間者

名の知れた盗賊の佐渡八。池田屋事件のあおりで捕えられる。

与力松次郎の計らいで助かるも、若い囚人の面倒を見ることになる。

二人はうどん屋を開くが、若者は、勤皇の間者で、新選組の情報収集が目的だった。

松次郎の死とその復讐。

松次郎の娘と佐渡八のロマンス。

読ませる。

泥棒名人

自分の腕に自信があり、上方一の盗賊だと思っている音次郎。

行者宗達という伝説のこそ泥と出会う。

泥棒対決をする二人。

そして、宗達が音次郎から盗んだものとは。

大坂侍

天朝方の世が始まろうという時勢。

大坂の川同心又八は鳥居元忠の子孫。

くすぶりに絡まれる材木商の娘を救う。

腕があり、人情があるが金はない。

父親が死に、形見の金で江戸にわたり遺言通り彰義隊で戦う。

滅びゆく侍の姿と。新時代の幕開けを予感させる商人、上方女の恋路。


”これからは北辰一刀流も神道無念流も関係ない。”

土方歳三の言葉。

時代の転換期。

「明治維新」の一言で語られる歴史の瞬間、瞬間、無数の人間が生きてた。

その一人一人にスポットライトが当たる。

人間に精通した書き手によって、命を与えられ躍動する登場人物たちの魅力的なこと、

この上ない。



この記事へのコメント