レジの熟女


今日は元日。
甥や姪にくれてやる金をスリ逃亡。

おれの金を期待した彼らはさぞ傷ついたことだろう。

そうやって傷つきながら少年、少女は大人への階段を上っていくのだ。

正月には親戚の叔父さんからお年玉が貰えるというコモンセンスが通用しない人間が世の中には存在するということをはやい段階から知ることができた彼らはきっとそこいらの温室育ちのガキどもより人生の辛酸に対する免疫力をより強く保有することにしたたかに成功するだろう。

かれらは幸せだ。

空調のきいた部屋で温かい雑煮をすすりながら当たり前のように迎える正月の幸福を誰よりも深く理解することができる豊穣な精神の発露を同族として願っている。

確実に言えることは、
間違っても雑煮を食わずに正月を迎えている人間に、雑煮を啜り餅を咀嚼する聞くに耐えない不協和音を通話口で奏でさせながら年初のあいさつをかましてくるようなクオリアの低い人間になることはないだろう。

元日の太陽を浴びながら川べりの土手の草むらに横たわり邱永漢の自伝と,  「香港」を読む。

「香港」はウェブで読める。

香港は直木賞を取っている。

読後感を言えば主人公よりも李老の生き様にこそ語られるべきものがある。

この手の経済小説のはしりを邱永漢が執り行ったということだろうが、内容がほぼほぼ彼の私小説だといっていいところに濃厚な生の迸りを感じる。

邱永漢が生きた青春は戦後、49年の台湾、上海、東京だ。

翻って

今を生きる日本男児よ、迸れ。

と煽ってみる。

大半のヤローもといメンズは迸り方すら知らない。

その点、

破産してるおれは正解だよ。

多少は迸ったといえるだろう。

さて、

去年は恐れの感情を多大に抱いた。

そして希死念慮な状態に身を置いた時間が相当にあった。

これらを鑑みて、

今年多大に抱こうという感情がある。

それは喜びだ。

人が不快で煩わしいと思うだろう出来事をあえて喜びで出迎えよう。

と年初の誓いを立てる。

なおタイトルは変更せず本日の散文を終了する。

いずれ熟女については書く機会があるだろう。

この記事へのコメント

  • 邱完調

    候補者 邱永漢 香港
    選考委員 評価 行数 評言
    永井龍男
    男51歳
    ○ 22 「前回の候補作「濁水渓」に比較すると、作者ははるかに腕を上げたのである。」「飛ばして読んでもよいような数個所が、すぐれた全篇を通じて後まで気になった。」
    小島政二郎
    男61歳
    ― 0
    大佛次郎
    男58歳
    ◎ 13 「日本の小説にはない神経の太い人間ばかり出て来るのが興味があった。」「島国の民、半島の人間が持たぬ伸々とした素質があるように感じ、向後の作品に期待したい、と思った。」
    川口松太郎
    男56歳
    ● 11 「肝心なものが不足しているし、突っ込んで書くところを省いて、無用なところで手間取っているような気がする。」「くどくもいうが直木賞受賞作家は、職業作家として大成してほしい。」
    井伏鱒二
    男57歳
    □ 8 「やはりどぎついが材料が面白く「濁水渓」に比べると長足の進歩である。」
    村上元三
    男45歳
    ◎ 16 「前回は受賞者が無かったのだから二人に上げては、とわたしは我儘をいった。どちらも直木賞作家として耻しい人ではない。」
    吉川英治
    男63歳
    □ 27 「この達筆をじつは私は買っていない。」「ほんとに苦悩しないのに苦悩ぶりする才が作品を浅くするのではないか。」
    木々高太郎
    男58歳
    ○ 5 「邱永漢「香港」と新田次郎「強力伝」とを第二位におした。」
    2019年01月03日 10:24
  • その時、洋平がのばしたあの華著な手は、
    あれはまがいもなく乞食の手だった。
    もしそれが自分の手だったら、庖丁を持ってきて、
    その場で切り落としてしまっただろう。
    なんという汚らしい、腐った手だ。
    恥知らぬ手だ。
    2019年01月03日 15:56