星に願いを


星に願いを

when you wish upon a star


when a star is born

they receive a gift or two

one of them is this

they have the power to make a dream come true



When you wish upon a star

Makes no difference who you are

Anything your heart desires

Will come to you


If your heart is in your dream

No request is too extreme

When you wish upon a star

As dreamers do


Fate is kind

she brings to those who love

the sweet fulfillment of their secret longing



Like a bolt out of the blue

Fate steps in and sees you through

when you wish upon a star your dreams come true




日中、

一人の道化が湖畔の道を歩いていた。

Honestyを口ずさんでいる。

彼が歩いていると

ほとんど黒色といっていい土色をした大きなカエルが道の中央で彼を待ち受けていた。

黒色の中に濃い緑の筋が幾筋か通っていた。

偉観から剣呑が漂ってくる。

近隣の同種を束ねる主といったところだろうか。

主らしきカエルは喉をげろげろと鳴らしながら

おれはカエルじゃないと告げてくる。

それだけ言うとぴょんとはねて草むらの中に消え去る。






IMAG2798.jpg



道化がもう少し歩くと、

今度はつがいの白鳥が6匹のヒナを引き連れて歩いてきた。

群れはクローバーの下草の上で立ち止まった。

するとヒナたちはさかんに草をついばみ始めた。

親鳥は少し離れたところからそれを見守っている。

子らが競って幸運の宝探しをしているように見える。

群れの中に一羽だけ毛並みが他と異なるヒナがいる。

彼女はまだ幼かったが十分に聡明だった。

彼女は実は自分が白鳥の子ではなくアヒルの子だということを知っていた。

そして、理不尽ともいえる運命のいたずらを呪うこともせず、

頑張って大きくなったら白鳥になる。

と言った。


ふと眼をやると

その口先に四つ葉が咥えられている。


きっと夢は叶うよ。星に願うんだよ。


とアヒルの子に言う。

道化は

彼女が白鳥の容姿を纏うことがない未来を知っている。

と同時に、そのことをただ告げることはなんの価値もないだろうと思った。

彼女の白鳥になることへの思いが本物であるのなら、

星を見上げながらかける願いによって、

彼女の首は他のアヒルより1ミリでも、2ミリでも伸びるだろう。

そうなれば彼女は白鳥にはなれないとしても群れの中で最も背の高いアヒルとしての認知を受けることができるかもしれない。

彼女の思いは糸に乗って次の世代、次の次の世代へとバトンのように紡がれていく。

彼女の願いを星が見ている。



道化がさらに進むと

ルータスの群生池があったが、

花は蕾すらなかった。

いつか咲く時を待って今はまだ泥の中で眠っている。


lotus

ルータス、ロータス、ローレス。

んー。

パス。



ルータス、ローレス、いずれにしても花はない。

オネスティとつぶやいて

誠実と清廉について

道化は気が付くというわけのようだ。

ブルータスに誠実などなく、清廉はフローレスの中にこそあると。


ああ、

花を咲かせたロータスをまた見に来るとしよう。

ゴメン。









夜になった。

湖畔の空は広い。

道化は空を見上げるのが好きだった。

だが、空は陰っていて星が見当たらない。

晴れている日ばかりではないから、

こんな日もある。

水面の側の芝の上に大の字になり、

目を閉じる。

陰りの先にある変わらない満天の空が脳裏に描かれていく。

それらの無数の星の中でひとつ。

彼にとって特別な星が一際強い光を放っている。

その星ならばいくら見つめても飽きることがなかった。

他のどの星よりも輝いている。


輝きは尋常ではなく、

ただそのままで、

あきれるくらい綺麗だった。

星からあふれ出す水素と酸素の結びつきはあまりにも澄んでいて美しかった。



星はなぜか、

遠いようでいていつも近くにあった。

言葉を贈るとそっと瞬きを返してくれるようだ。

そんな風にして奇跡的に

道化は星に恋をした。

星の中にあるHの隣に佇んでいるキャラクターがとても好きだった。



輝きが尋常ではないのは、

それを損なおうとする闇もまた途方もなく巨大だから。

星のための漆黒ならばいい。

だが、

星が瞬くために必要なのは黒ではなく

笛と詩と息子に他ならない。





星を思いながらビリージョエルの just the way you are を流した。

音符とともに、

マリアに帰納されるべき星が、

そのあかつきに新しく獲得するだろう光源の眩さについて想いを巡らせた。

そして、

いつまでも道化を演じ続けている自身の滑稽さを天に向かって懺悔した。

アーメン。



道化は

閉じた目を開けて立ち上がった。


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