ゴーストライター

ゴーストライター


監督 ロマンポランスキー
原作 ロバートハリス
主演 ユアンマクレガー


イギリス映画。

元首相の自伝を書くことになったゴーストライターの男の話。

ロンドン。

自伝の出版を計画していた元首相のゴーストライターが溺死。

新しいゴーストライターを募集する出版社に代理人とともに訪れる男。

ハートで自伝を書くという男の話に出版社が乗る。

面接に合格し帰宅する際、さっそくバイクに乗った男達に襲われる。

読むようにと渡された原稿を奪われる。

危険な案件。

だが報酬は25万ドル。

やるしかない。

さらには、渡航直前、元首相に政治がらみのスキャンダルが発覚する。

中東で、アルカイダに関連するテロ容疑者である英国民の誘拐をMI6へ指示、捕らえた彼らをCIAに引き渡し拷問させたというもの。

政敵が元首相をひきづり落としにかかっている。

仕事はアメリカのとある島にある元首相の邸宅で行われる。

島という設定。

限られた空間での限られた人間。

首相、妻、秘書、使用人。

プラス、

学友、政敵。というプレイヤー。

が、サスペンスを展開し、

前任者はなぜ死んだのか。

ということが明らかになっていく。

とともに主人公が事件に巻き込まれていく。

というストーリー。


よくできている。

秘書と元首相の思わせぶりな雰囲気。

アジア系使用人の目線。

妻の欲求不満。

最後まで緊迫感が途切れない。

ストーリーが展開する上でのキーとなる行動は前任者が乗っていた車のカーナビに残された住所を訪れるというもの。

それが車をフェリーに置いたまま脱出するという行為につながる。

さらには元首相とのジェット機での会話へと展開する。

元首相との機内での会話は、前任者が死ぬ前に演じた大ゲンカと同じものとなっている。

アメリア(秘書)の視線に

観客がその回帰性に気付くよう仕向けている。

一方、男はまるでそのことに意を介していない。

政敵に全てを打ち明け、元首相にも得た情報をありのままに話す。

あらいざらいを正直に語っている主人公は自分の命に淡泊のように写る。

元首相は空港で射殺される。

JFKのように。

CIAが絡んでくる。

軍事産業が絡んでいる。

それでも主人公は命の危険に対して無垢。

白無垢。

真実を本人へ伝える薄っぺらいメモ書きの伝搬は、男の命そのもの。

途中で開かれても、運よく本人へ伝えられるにしても、いずれにせよ破棄される。

閉じたジャーナリズムを生業とする人間の哀しみ。


冒頭で主人公は無造作にタクシーをひろう。

だが、最後に主人公はタクシーをひろうことができない。

なぜなら彼はひろわれるから。

そう。

死神に。

舞い散る白い原稿が男の死を弔った。




ゴーストライターがホンモノのゴーストになる話。

アダムラングとトニーブレアがかぶる。

シェリーブースとルース響きが似ている。

シェリルブースがCIAに通じていたら。

という発想か。

アメリア役のキムキャトラルという熟女の存在感が素晴らしい。

元首相秘書役がハマっている。

明るく、賢く、有能、そして、セクシー。

冷たいようでいて情があり、時に涙を流す。

年相応の可憐も抱えてる。

だが、男の影がない。

みたいのはたまらない。

彼女を、既婚女性だがプロミスリングは、はめていないという設定にしたのは男どもを喜ばせるのに十分。

カラットがでかすぎて空港の検査で引っかかるという無茶なかえしも見事。



いや、この作品見てレビュー書いてなかったんだが、書く気になったのは監督の経歴がヤバかったから。

ポランスキーって凄まじい人なんな。

1933年生まれのポーランド人。

アメリカを捨てた男。

この人アメリカに行くと捕まるらしい。

ウィキペディアによると77年、44歳の時に13歳の女の子への性的行為(強姦、AF)容疑で逮捕され、法廷強姦の罪で有罪となっている。

保釈中にロンドンへわたり、以後アメリカの土を踏んでない。

さらには、

妊娠中の母親をアウシュビッツで殺され、妊娠中の奥さんをマンソンファミリーの手によって殺されている。

壮絶。凄惨。

経験の濃度、重度が桁を外れている。

濃く、重い。

なお、今の奥さんはナインスゲートの魔女役の女優。

シャロンテートもそうだが、ブロンド以外を愛せない人である模様。

アメリアのキャスティングもうなずける。



世界は広い。

世界的名声を得ている映画界の巨匠は、実は逃亡中のクリミナルだった。

彼は40年以上逃亡している。

40年という日月の積み重ねはもはや逃亡という概念を破壊することに成功している。

危機が常態となれば、もはやそれは危機とは呼べないことと同じように。


失敗を恐れるあまり小さく生きることを志向する、

もしくは志向せざる負えなくなっている現代の多くの人々。

ここに破綻者でありながら恐れることなく自己表現を行い続けた偉大な先人がいる。

彼の生き様が示してくれていること。

それは、罪を犯せ、逃げればいいから、

ということではない。


失敗を恐れるな。

自己表現を恐れるな。

転べ、何回でも、

かすり傷程度の痛みなら必ず立ち上がれる。

むしろ落ちるなら、盛大に転げ落ちろ。

どれだけ血を流そうとも、

意志があり、

命があり、

諦めさえしなければ、

何度でも、どこからでも生きなおすことができる。

気が付けば自分の残した足跡の後ろに道ができているから。


というドスの効いた咆哮ともいえる強烈なメッセージだ。

おれはまだよちよち歩きのひよっこだ。

そんな想いに駆られる深夜3時半。













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事故出品3件。

返金処理2件。

レターパック。

登録。

これで2本分4つお願い。

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